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ごめん、やっぱ忘れたかも
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 私は彼女に憧れていた。
 彼女が太陽の光なら私はその影で、彼女が朝なら私は夜。彼女が手に入れられるものの中で私に手に入れられないものは、沢山あった。同じ容姿をしてるのに、同じモノを持っているのに、私はいつも選ばれなくて、彼女はいつも選ばれる。黒い感情が奥底から湧き上がってくる。

 私は彼女が死んで、悲しいはずなのに。彼女が死んで寂しいはずなのに。

 どこかそれを喜んでいる私がいる。私が私でなくなりそうな自己矛盾。私は、彼女を、本当は、・・・・・・
 桃の木に近づいてみる。よりいっそう、甘い香りが鼻の奥へと広がっていく。同時に湧き上がる黒い感情も抜け落ちていく。
 そう、私は彼女とは違うのだ。姿形は同じでも私と彼女は、確実に別れた存在であることも一つの真実だ。


 花のついた木の枝を一つ折って、前挿しにする。


-大丈夫よ。

 振り返ると、笑顔で彼女が立っている。けれどどこかそれはぼんやりとしていて今にも消えそうだ。

「姉さんっ」

 駆け寄って手を伸ばすが、風とともにその幻像が散っていく。暖かい彼女の声だけが優しく語りかけてくる。

-あなたはきっと乗り越えられるから。時間はかかるけど、きっと大丈夫。

 根拠のないことをこうもぬけぬけというのがいかにも姉らしい。でも、それで救われた気がする。

「うん、頑張ってみるよ」

 風が吹いて、今度こそ完全に甘い香りとともに、彼女の声も消えてしまった。髪に挿した桃の花だけがいつまでも、仄かに香っていた。

(END4. NORMAL END)
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