ごめん、やっぱ忘れたかも
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「定番過ぎるだろうけど、羊でも数えるか」
時刻は午前3時。ごろんと寝返りをうって、目を閉じる。
「羊が一匹、羊が二匹、・・・」
暗闇の中に柵を作って、羊を思い浮かべていく。ぐるぐるぴょこぴょこと、頭の中を白い綿菓子みたいなお羊が駆け回っていく。
「・・・、羊が763匹,羊が764匹,羊が765匹、羊が766匹,羊が777匹、・・・あれ?」
羊が出てこない。
「羊が777匹・・・かわいい羊が777匹・・・キュートな羊が777匹っ!」
出てこない。
羊が出てこなくなった。こんな事態が来るとは思っていなかったが、これはこれで困る。眠れないじゃないか。
「羊は776匹で全部ですよ」
振り返ると、最後の766匹目が、ちょこんと立っていた。
「え、そういうもんなの?」
「残念ながら、そういう仕様です」
「仕様ですか、って納得できるわけあるか!俺は寝なきゃいけないの!今すぐ寝たいの、夢見たいの!」
「無理だと思いますけどね。」
776匹目はふてぶてしくふんと鼻息を鳴らす。
「じゃあ、別のやつ数えればいいじゃないですか。そもそも何で羊である必要があるんですか。数えられればい問題ないと思いますがね」
「なんか見た目に反して全然かわいくない羊だな!」
「これでも貴方が呼び出した羊ですけどねっ!」
にやりと笑う。その頭をがっしと掴んで壁に向かってぶん投げる。壁に柔らかくぶつかった後ていんていんと床を転がって、またしてもにやっと不適に笑う。だめだ。これ以上こいつの相手をしてもだめな気がする。
「もうおまえなんて知らん!これからはウサギを数えることにする!」
「しかし何でウサギなんか。十五夜ってもう終わりましたけど?」
「ばーかそんなん俺が卯年だからに決まってるだろ」
「けっ」
まあやるだけやってみては、と文句を垂れつつ羊は部屋の片隅でおとなしく丸くなっている。悪あがきを傍観することを決め込んだようだ。
「ウサギが1羽、ウサギが2羽、・・・」
もう頭の中は、羊とウサギがわらわら動き回って大変なことになってしまっている。
「ウサギが、568羽、ウサギが569羽、ウサギが570羽、・・・ウサギが570羽・・・お願いだからウサギが570羽」
「ウサギも打ち止めだってよ」
「だまれ」
「で、次は何を数えるの?」
「もう知らんわ。どうでもいいわ。あきらめたわ」
「いやいや、たかが二種類数え上げただけであきらめるとはそんなもんか」
「あん?」
「小さい奴だなと言ってるんだよ」
「こ、このやろう」
握りつぶそうとして伸ばした手に776匹目は答える。
「いやね、他にもっと数えたら眠れるかもしれないのにそれをあきらめるのか、と聞いているんだよ私は」
「ぐ」
乗せられるな、絶対こいつはそんなこと微塵にも思ってないぞ。
「でも眠りたいんだろう?」
そうだ、いいかげんに羽山は眠ってしまいたい。
「それなら頑張れよ」
「くそ、お前に言われたかないわ」
悪態をつきながら羽山は腹をくくった。
「よし、それじゃ目につくもの手当たり次第に数えるぞ」
「おう、そのいきだぜ、旦那」
そうして勢いよく窓のカーテンを開ける。
「朝日が一つ!」
repeat hologram dreams
時刻は午前3時。ごろんと寝返りをうって、目を閉じる。
「羊が一匹、羊が二匹、・・・」
暗闇の中に柵を作って、羊を思い浮かべていく。ぐるぐるぴょこぴょこと、頭の中を白い綿菓子みたいなお羊が駆け回っていく。
「・・・、羊が763匹,羊が764匹,羊が765匹、羊が766匹,羊が777匹、・・・あれ?」
羊が出てこない。
「羊が777匹・・・かわいい羊が777匹・・・キュートな羊が777匹っ!」
出てこない。
羊が出てこなくなった。こんな事態が来るとは思っていなかったが、これはこれで困る。眠れないじゃないか。
「羊は776匹で全部ですよ」
振り返ると、最後の766匹目が、ちょこんと立っていた。
「え、そういうもんなの?」
「残念ながら、そういう仕様です」
「仕様ですか、って納得できるわけあるか!俺は寝なきゃいけないの!今すぐ寝たいの、夢見たいの!」
「無理だと思いますけどね。」
776匹目はふてぶてしくふんと鼻息を鳴らす。
「じゃあ、別のやつ数えればいいじゃないですか。そもそも何で羊である必要があるんですか。数えられればい問題ないと思いますがね」
「なんか見た目に反して全然かわいくない羊だな!」
「これでも貴方が呼び出した羊ですけどねっ!」
にやりと笑う。その頭をがっしと掴んで壁に向かってぶん投げる。壁に柔らかくぶつかった後ていんていんと床を転がって、またしてもにやっと不適に笑う。だめだ。これ以上こいつの相手をしてもだめな気がする。
「もうおまえなんて知らん!これからはウサギを数えることにする!」
「しかし何でウサギなんか。十五夜ってもう終わりましたけど?」
「ばーかそんなん俺が卯年だからに決まってるだろ」
「けっ」
まあやるだけやってみては、と文句を垂れつつ羊は部屋の片隅でおとなしく丸くなっている。悪あがきを傍観することを決め込んだようだ。
「ウサギが1羽、ウサギが2羽、・・・」
もう頭の中は、羊とウサギがわらわら動き回って大変なことになってしまっている。
「ウサギが、568羽、ウサギが569羽、ウサギが570羽、・・・ウサギが570羽・・・お願いだからウサギが570羽」
「ウサギも打ち止めだってよ」
「だまれ」
「で、次は何を数えるの?」
「もう知らんわ。どうでもいいわ。あきらめたわ」
「いやいや、たかが二種類数え上げただけであきらめるとはそんなもんか」
「あん?」
「小さい奴だなと言ってるんだよ」
「こ、このやろう」
握りつぶそうとして伸ばした手に776匹目は答える。
「いやね、他にもっと数えたら眠れるかもしれないのにそれをあきらめるのか、と聞いているんだよ私は」
「ぐ」
乗せられるな、絶対こいつはそんなこと微塵にも思ってないぞ。
「でも眠りたいんだろう?」
そうだ、いいかげんに羽山は眠ってしまいたい。
「それなら頑張れよ」
「くそ、お前に言われたかないわ」
悪態をつきながら羽山は腹をくくった。
「よし、それじゃ目につくもの手当たり次第に数えるぞ」
「おう、そのいきだぜ、旦那」
そうして勢いよく窓のカーテンを開ける。
「朝日が一つ!」
repeat hologram dreams
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